昨夜、イライラして全く眠れなかった。
そこで図書館から借りていた本を一気に読んだ。気持ちが落ち着いてゆっくり眠れた。
「王朝懶夢譚(おうちょうらんむたん)」は、平成4年から6年にかけて別冊文芸春秋に連載されたとのこと。バブル期に田辺聖子さんまでハイテンションになって一気に書き上げたのではないか、と思えるような、スピーディな展開。とても読みやすい。だけど、遊び心のないお堅い読者だったら、現代語で会話をする藤原氏の姫や天狗なんて1ページ読んだだけで受け入れないかも・・・
勿論、私は好きだけど。
舞台は平安。醍醐天皇の時代がモデル。主人公:月冴姫は政略結婚で嫁ぐ予定だった保明親王が夭折したため、まだ3歳の次の東宮が成人するまで 、結婚もせず10年を待たされているという設定。美しく妙齢の姫の元に天狗の子(でも300歳)が現われ、冒険をする平安ファンタジー。
醍醐天皇の時代ということは、現代の女性に人気の安倍清明が活躍する直前だろう。
そして、執筆された平成4~6年というのは、夢枕獏さんの小説「陰陽師」が、岡野玲子さんによって漫画化された頃。丁度、同時期に田辺聖子さんもこの小説を執筆していたらしい。
田辺聖子さんの小説は、子どもの頃から大好き。「文車文庫」を手に取ったのが中学1年位だったと思う。以来、おセイさんの古典物を中心に読んでいる。私もおセイさんのような文学的教養のある女性になりたかったなぁ。
しかも、田辺聖子さん自身、大の宝塚ファンとのこと。もう、私も大好き。「舞え舞え蝸牛」に始まって「源氏物語」など、宝塚でも舞台化されている。自分の作品が宝塚で上演されるなんて、どんな気持ちがするのだろう?
「源氏物語」は、紫の匂える恋というサブタイトルがあったような覚えがある。数ある現代語訳の中で、田辺聖子さんの現代文訳が宝塚では取り入れられていた。源氏は膨大なテーマがある、深い物語なのだが、田辺訳は”業”というものが主題に取り入れられていた。
話は戻るけれど、この王朝懶夢譚は、まさに宝塚の舞台化をイメージして書かれたような、スピーディで賑やかで、ちょっとほろりとさせられる物語。宝塚の2枚目から脇役まで個性豊かに演じられそう。物語の最後のシーンなんて、まさに宝塚のフィナーレ状態。何故、今だの舞台化されないのか不思議なくらいだ。
連載の2~3年前になるだろうか、星組に日向薫(ネッシー)さん、紫苑ゆう(シメ)さん、南風まい(マイマイ)さんが在籍していた。ヒロイン:月冴姫、マイマイさんにぴったり。東国の若者:春季(はるとき)がネッシーさん、貴公子:弾正宮とその弟:悪徳丸をシメさんの二役で。似合っただろうな。今だったら、誰が良いだろう?
イライラした不眠状態から一気に読んで、すっかり夜更かししてしまったが、自分も平安ファンタジーを実体験したかのような楽しい気分になれた一冊だった。
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